過重労働による労災申請は「貨物運送業」が最多の144件
運送業の「人手不足」と「長時間労働問題」は以前から問題視されていますが、
新型コロナの影響でますます注目され、報道される機会が増えています。
そんな中、厚生労働省が令和元年度の「過労死等の労災補償状況」を発表しました。
発表では「過重労働」による労災請求は全部で936件。
そのうち144件(15.3%)が「貨物運送業」で、全業種で最多と発表されています。
2番目に請求が多い業種はサービス業の75件。貨物運送業の労災請求は、
サービス業の約2倍も請求が多い結果になりました。
50〜59歳の年齢層は特に注意が必要
過重労働による、年齢別の労災請求状況も公表されています。
貨物運送業も含めた全請求936件のうち、
50〜59歳の請求は333件。実に、35%を50〜59歳が占めていました。
労災請求が認められるときは単に労働時間が長いだけではなく、
不規則な勤務や出張の多さ、深夜勤務なども総合的に判断されています。
年齢が高くなれば脳や心臓への疾患が増えてきますので、注意が必要です。
労災請求が認定された中には、
1か月の残業時間が「160時間以上」になっているケースもありました。
過労死のラインと言われている残業時間が「80時間」なので、
さらにその2倍も残業をしていることになります。
厚生労働省は、労災認定の基準を見直す方向で検討を始めたそうです。
しかし、本来は労災請求しないことが一番ですよね。
毎年1回以上、労災事故が発生している企業であれば、
根本的に安全の仕組みを考えなければいけません。