「基準改正」で車両停止期間が39日車→65日車の約1.7倍に
昨年9月に起きた「京浜急行電車と大型トラックの衝突事故」は、今でも記憶に新しいのではないでしょか。
最近ではコロナによる「ドライバーの健康問題」など、昨今の運送業には何かと注目が集まっています。
そんな中、LogisticsTodayさんの記事にも掲載されていましたが昨年度のトラック運送事業者に対する、
行政処分の結果が発表されました(近畿運輸局管内)
発表された行政処分の内容は、
違反件数:昨年1,063件➡1,273件と210件の増加。
そして一番大きな処分は、
平均停止日車数:39日車➡65日車と約1.7倍に悪化したことです。
全部で185件の使用停止処分があり、その合計日数は1万2,050日車にもなります。
なぜこれほど停車日車数が悪化したかというと「行政処分基準改正」が行われたからです。
運送業のドライバーの長時間労働を是正し、過労を防止するため平成30年7月から
過労防止違反等に係る車両停止等の処分量定を引き上げています。
今回の結果にもこの引き上げが影響しています。
過労防止等の違反が無ければ、6割以上の処分が減る
運送業のドライバーは長時間労働が常態化し、過労死の認定数は職種別で最多。
このことを問題視して「過労防止違反」への処分を強化したことが今回影響しており、
1,273件の総違反件数のうち、6割超えの811件が「過労防止等」の違反です。
逆に、過労防止等の違反が無ければ6割以上も処分が減っていたことになります。
「過労防止等」の違反TOP3は、
1:点呼(308件)
2:乗務記録等(183件)
3:乗務時間等(124件)
です。過労防止違反の約7割をこの3つが占めています。
また、これらの「過労防止等」に違反すると、基準改正によって
今までの最大4倍も処分量定が科される可能性があります。
さらに今回、運行管理者としての業務を誠実に実施しなかったとして、
トラック事業者の12者に対し「運行管理者資格者証」の返納命令も行っています。
今年は「改善基準告示」の見直しも予定されおり、ドライバーの長時間労働の是正は、
待ったなし、今すぐに取りかからなければいけない最優先の経営課題になっています。