点呼時に「睡眠不足」の確認は義務化されている?
2012年4月に関越自動車道で高速バスの運転手が居眠り運転。
乗客7人が死亡し、乗客乗員39人が重軽傷を負っています。
2016年3月には、山陽自動車道でトラック運転手が居眠り運転の事故を起こしました。
運転手は、事故3日前から2日前にかけて一睡もせずに36時間乗務を続けていたそうです。
このような睡眠不足による「居眠り運転」を問題視した国土交通省は、
「貨物自動車運送事業輸送安全規則等」を改正。
運転手の睡眠不足による事故の防止を一層推進するために、
点呼時の記録事項として、「睡眠不足」の状況を追加しました。
(平成30年6月1日に施行済み)
管理者・運転手の双方に報告と確認義務がある
この改正では、管理者と運転者の双方に義務を科しています。
・管理者:運転手を乗務させてはならない事由に「睡眠不足」を追加
→要は、ちゃんと睡眠不足を確認すること。
・運転手:睡眠不足により安全な運転をすることができないおそれがあるときは、その旨を事業者に申し出ること
→要は、ちゃんと睡眠不足を報告すること。
管理者・運転手のどちらか一方ではなく、双方で報告・確認をすることで、
居眠り運転による事故を防止しようとしています。
ちなみに、この改正はバス事業も同時期に義務化されていて、
居眠り運転による事故を防止への意識を高めるためだそうです。
運送業の働き方改革を進める観点でも「睡眠時間」は重要
改正による一番の効果は居眠り運転事故の防止です。
しかし、そもそもの背景には運送業の長時間労働による睡眠不足が要因と言われています。
「改善基準告示」でも終業してから8時間以上の休息を取るように決めてあります。
まずは、運転手にしっかり8時間以上の休息が取れるようにして、
睡眠時間を確保する必要があります。
点呼時の「睡眠不足」の確認は義務です。しかし、義務だからやるではなく、
運送業の働き方改革の観点からも「睡眠時間」は重要なポイントになります。