改善基準と労災基準の「基準」は違う
厚生労働省から令和元年度の労災補償状況が公表されました。
公表される分類は大きく2つに分けられていて
・肉体的な疾患の「脳・心臓疾患」と
・精神的な疾患の「精神障害」
の2つです。
肉体的な疾患の「脳・心臓疾患」については職業別の申請で、
運送業が一番多いということもあり度々話題に出てきますが、
実は精神的な疾患の「精神障害」も十分注意する必要があるのです。
なぜなら、
ドライバーの労働時間の基準になる「改善基準告示」の上限まで働くと、
「精神障害」の労災認定基準に達する可能性があるのです。
「改善基準告示」では1年に6か月までの条件で、
拘束時間の上限を月320時間になっています。
仮に月24日出勤でこの320時間を上限に働いた場合、
100時間超の残業時間になる可能性が高いのですが、
この残業100時間が「精神障害」の労災認定基準になるのです。
「改善基準告示」では320時間の拘束時間を年に6か月まで可能ですが、
「精神障害」は3か月の残業100時間で認定される基準に達します。
ドライバーの労働時間管理を「改善基準告示」に合わせることは重要です。
しかし、上限いっぱいまでギリギリに働くにはリスクが伴います。
月末になって基準を超えないように月の途中で月末の予測を計算しながら
労働時間の上限に余裕ができるようにしなければいけません。