コラム

運送業のドライバーが起こした過労運転は「事故」ではなく「事件」

事故の現場検証が終了したら終わり。ではない

 

2016年に山陽トンネルで重軽傷者70名、死者2名の大事故が起きました。

渋滞の列にトラックが突っ込んだことが原因で、運転手が逮捕されました。

実は、それで終わりではなかったのです。

 

運行管理者が事故が起きてから5ヶ月後、逮捕されました。

 

事故後の調べで分かったドライバーの労働時間は、

・事故直前の2ヶ月間で、休みが3日しかなかった

・事故直前の1ヶ月の拘束時間が420時間に達していた

ほとんど休みなく働いてたことが判明しました。

 

ドライバーの労働時間の基準になる「改善基準告示」では1ヶ月の拘束時間は、

特例でも320時間です。さらに100時間もオーバーしていたことになります。

 

運行管理者は道路交通法75条の「過労運転を命じたり容認してはならない」ことに、

違反したとして逮捕されました。

 

管理者は過労運転を「指示」していなくても罪に問われる

 

この事故で運行管理者が逮捕された容疑は道路交通法の、

「過労運転を命じたり容認してはならない」ことに違反したことです。

では、もし「私は命じたり、容認していない!」と主張したらどうなるのでしょうか?

 

主張が認められる可能性は、ほぼありません。

なぜなら、運行管理者はドライバーの拘束時間など労働時間を管理して、

「過労防止」をするように「運行管理規定」に定めてあるからです。

 

規定されている拘束時間や運転時間を超えるような運行を、

許可した時点で過労運転を命じたことになるからです。

 

 

そもそも「過労運転」かどうかはの判断は明確に決められいません。

しかし、大きな焦点になるのが「改善基準告示」の違反の程度です。

ドライバーは元気だった、疲れている様子はなかったなど、

感覚的なことでは通用せず、労働時間が焦点になります。

 

過労運転による事故は不可抗力で起きた「事故」ではなく、

起こるべくして起きた「事件」です。

「改善基準告示」の遵守が何より大切なことを、改めて認識しなければなりません。

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