運転するなら社長も役員も「ドライバー」と同じ
一般的には、社長や役員がトラックに乗務することは少ないでしょう。
でもそれは、大手運送会社の話。
約63,000社のトラック運送会社のうち99%は中小企業です。
中小の運送会社では、従業員ドライバーの労働時間調整やトラブル対応などで、
社長や役員であってもトラックに乗務することがあります。
そこで注意が必要なことは「運転するならドライバーと同じ」ということです。
国土交通省は2019年に安全規則の解釈を変更。
いかなる名称によるかを問わず、運転する場合は「勤務時間」や「乗務時間」など、
労働基準はドライバーと同じ基準だと発表しています。
もちろん、違反すれば車両停止など行政処分になる可能性があります。
「点呼」を社長や役員が実施しているは更に注意が必要
(監査官)
「社長、毎日トラック乗っているようですが、本当に点呼をやっているんですか?」
こんな質問があるかもしれません。
本当にやっている場合は、トラックの乗車時間や拘束時間を調べられますし、
もし仮に点呼をやっていない場合は「虚偽記載」として問題になります。
最悪の場合、
・不実記載、車両停止30日
・虚偽の陳述、営業停止30日
・乗務基準違反(1ヶ月の違反16件以上の場合)、車両停止40日
など、重い行政処分になる可能性があります。
経営者が現場に出るリスクは高い
中小運送会社では、急なトラブルやドライバーの体調不良などで、
どうしても社長や役員がトラックに乗務しなければならない場合があると思います。
緊急事態であれば、いたしかたがない事かもしれません。
しかし、慢性的に続く場合は見直しが必要です。
「何曜日に多いのか?」「何時間分の運転時間が足りないのか?」
まずは労働時間の実態を把握して、改善策を見つける必要があります。
監査が入れば経営者自身が「改善基準告示」違反になり、
会社も行政処分されることになります。
経営者が現場に出るリスクは思っている以上に高いのです。