働いていなくても「労働時間」になることがある
ある運送会社のドライバーが定時より1時間早く出勤していました。
昨日のことであれば配車表や日報などを調べれば、
すぐに本当に早い業務(労働時間)だったのかどうか分かります。
では2年前のことならどうでしょう?
2年前に定時より早く出勤したすべての日が労働時間かそうでないか、
調べるのは大変です。
以前こちらのコラムでも紹介しましたが未払い残業訴訟になった場合は、
労働時間かどうかの説明はドライバー側ではなく、
会社側に説明を求められることになります。
(残業代訴訟で会社側の主張が認められるには|https://app-logi.co.jp/column/beneficial/1783/)
会社側から明確な説明がない場合はたとえ仕事をしていなくても、
定時より早く出社(始業)していた時間は労働時間扱いになる可能性が高くなります。
出退勤時間を申告するルール整備が重要
冒頭のように労働時間は「記録に残っている時間」で判断されることが多く、
出退勤の時間管理はとても大切です。しかし実際は、
「タイムカードはいつでも自由に押せるようになっている」
「日報の始業時間はドライバーに任せている」
など、
管理が曖昧になっている場合もあるのではないでしょうか。
そこで出退勤時間を申告するルール整備が重要になってきます。
例えば、
会社から早出の指示がない場合は「定時15分より前にタイムカードを押さない」
など、どのタイミングで出勤の申請をするかルールを決めることです。
運送業の場合はもっと細かくルールを決めることができます。
ドライバーは「日常点検」→「点呼」→「出庫」が必ず発生するので、
1:早く出社しても定時15分前からしかトラックの鍵を受け取れない
2:鍵を受け取った時間を必ず記録してその時間を始業時刻にする
3:鍵を受け取ったあとは「日常点検」から行う
4:終業時間は「終業点呼後に鍵を返却した時間」にする
時間と行動のルールを決めてしまうことです。
会社によっては朝礼や清掃など別の作業がある場合は、
その作業を含めてルール決めが必要です。
ルールを決めてた後は実施する前に一度弁護士や社会保険労務士など、
専門家にチェックしてもらうと安心です。
明確な「出退勤時間の申告ルール」がない場合は、
上記を参考にまず自社の出退勤管理のルール整備からはじめてみましょう。