昔から使われている給与明細・勤怠管理表に注意
弁護士事務所に運送会社の社長から相談がありました。
「半年前にやめたドライバーから500万円超の未払い残業代の請求がきた」
早速、該当ドライバーの給与明細と勤怠管理表を見てもらう事に。
明細を見た弁護士から言われたひと言は・・・
「これはマズイですね」
その理由は、
「残業代」の項目が無かったのです。
この運送会社では10年前から同じ給与明細や勤怠管理表を使っていて、
「残業」に関するの項目がなかったのです。
今までドライバーから指摘されたことはありませんでした。
さらに「残業代」は固定額を歩合に上乗せして「歩合給」として支給。
残業代が払われていないように見えていたのです。
その後は大変です。
2年分の運転日報・タコグラフを1日ごとに確認して、
残業時間を計算し直すことになってしまいました。
ただひとつ「残業」の項目があれば起きなかったトラブルです。
「退勤時刻」は正確に記録
運送業に限らず「長時間労働」や「残業」の削減に注目されていますが、
監査や取り締まりを担うのが「労働基準監督署」です。
その労働基準監督署が最近特に注意する項目があって、
それが「退勤時刻」です。
例えば運送業では、
「デジタコの終了時間」と「退勤時刻」が同じ時間だった場合はこう指摘されます。
「デジタコを切った瞬間に帰宅しているんですか?」
他にも、
毎日固定のルートを配送して”いない”のに、
毎日同じ「退勤時間」になっている場合など指摘される可能性があります。
運送業のドライバーは他業界により労働時間の管理が複雑です。
冒頭の「管理に必要な項目」に抜け漏れがないか?
「正確な勤務時間」がきちんと申請・登録されているか?
今一度チェックしてみてください。もし不安な場合は、
社会保険労務士などの専門家にもチェックしてもらうことも対策のひとつです。