ドライバーの労働管理は時間管理だけではない
「台風の日に無理やり運転させると違反になる」
そう言われたらほとんどの管理者の方は、「だったらウチは違反だらけだね、、、」
こう答えるのではないでしょうか。
実は、あながち冗談ではないんです。
例えば、最近頻発してる暴風雨。
避難指示が出ていたり河川が氾濫する可能性がある中で、
無理に運行を指示してドライバーが事故や怪我をした場合、
「安全配慮義務違反」という法律違反になることがあります。
ドライバーの労働管理では、残業時間や休憩時間に注目されがちですが、
運行自体の「安全配慮」も労働管理で重要な管理項目なのです。
「安全配慮義務」自体に罰則はありません。しかし、違反して事故や怪我が起きた場合、
民事訴訟など労働者から損害賠償を請求される可能性があります。
運送業の労働管理で必要な「安全配慮義務」の範囲とは?
ある運送会社のドライバーは、積み下ろしを手作業で行っていました。
業務中に腰痛を訴えてそのまま入院。腰椎間板ヘルニアと診断され、
その後仕事ができなくなってしまいました。
この事例は実際に裁判になり、拘束時間や労働時間が「改善基準告示」を超えていたことや、
積み下ろし作業に台車など補助器具がなかったことから「安全配慮義務違反」が認定されました。
この他にもドライバーの労働管理上で必要な「安全配慮義務」の範囲は、
・作業に必要な備品の不足や不備がないか
・「改善基準告示」を超える労働をさせていないか
・健康診断を実施しているか
・人間関係にトラブルがないか
・危険があることを知って運行を強制していないか
などに注意する必要があります。
ドライバーの労働時間の規制は年々厳しくなり、さらに時間管理以外にも、
健康状態や作業の安全性を確保した労働管理が求められています。
大きな事故や怪我がでる前に、一度上記の項目を確認してみてはいかがでしょうか。