「月80時間の残業」を基準に残業時間の管理をしてはいけない
一般的に労災認定されるには過労死ラインと言われる「月80時間残業」が目安とされ、
多くの企業で「月80時間残業」を基準に労働時間管理をしていることがあります。
運送業では月100時間や月150時間超えの残業時間を聞くことも珍しくありませんが、
「月80時間の残業」を基準に管理すると、大変な事になる可能性があります・・・
その理由は、過去にこんな判決が出ているからです。
ある突然死した男性が「月45時間の残業」で労災認定され、
さらに、会社に対する1億6,400万円の損害賠償請求の和解が成立。
ということが実際の判決で出ているからです。
冒頭でも書いた通り、一般的には「月80時間残業」が目安になりますが、
「月45時間残業」を超えると業務と疾病の因果関係が“強くなる”と考えられています。
そのためこの裁判では、直近6か月の残業時間は80時間未満の45時間だったのですが、
さらに過去3年前まで遡って労働時間を調査。
その結果、過去3年間のうちに80時間超や100時間超えの残業があったことが判明し、
「恒常的な長時間労働で疲労が蓄積し、解消できなかった」と過重労働が認定されました。
恒常的に長時間労働が多い運送業のドライバーは過労死のリスクが、
全業種で一番高いと言われています。
「月80時間残業」はあくまで目安です。
労働時間管理で単月の月80時間残業だけを基準にするのは危険です。
ドライバーの健康管理はもちろん会社の労災リスクを低減させるために、
「月45時間残業」を労働時間管理の基準に設けることを考えなければなりません。