前回までのコラムでは、拠点ごとの業務や記録を揃えることで、現場と経営のズレをなくす方法を整理しました。
https://app-logi.co.jp/column/?p=8117&preview=true
今回はそこから一段踏み込み、運送会社の経営そのものの前提に切り込みます。
テーマはシンプルです。「なぜこれだけ働いているのに、利益が残らないのか」。
多くの経営者が感じているこの違和感は、気合いや努力の問題ではありません。
構造の問題です。

売上は伸びているのに利益が増えない理由
運送業では、次のような状態がよく見られます。
- 売上は毎年伸びている
- ドライバーも増えている
- 車両も増えている
- しかし利益は横ばい、もしくは減少している
このとき、多くの会社はこう考えます。
- まだ規模が足りない
- もっと案件を増やせば利益が出る
- 稼働率を上げれば改善する
しかし実際には逆です。仕事を増やすほど利益が悪化しているケースが多いのです。
原因は「仕事の中身を見ていないこと」
売上だけを見ている会社は、次の視点が抜けてることが多いようです。
- その仕事はいくら利益を生んでいるのか
- そのドライバーはどれだけ利益を作っているのか
- その運行は本当に採算が合っているのか
つまり、売上の内訳を見ていない場合です。
例えば:
- 長距離で売上が大きい案件
- しかしドライバーが行う作業時間や待機時間が長く、実働効率が低い
- 結果として利益はほとんど出ていない
このような仕事が積み重なると、
売上は増えているのに利益は増えないという状態になります。
「忙しい会社ほど儲からない」構造
運送業では、忙しさと利益が一致しません。
むしろ、
- 長時間拘束
- 待機時間増加
- 低単価案件の積み重ね
によって、忙しいほど利益率が下がる構造が存在します。特に次のような仕事は要注意です。
- 荷待ち時間が長い
- 積卸しはドライバーの担当
- 貨物事故が起こる確率が高い
- 指示変更が多い
- 片道だけ高単価で往復効率が悪い
- 突発対応が多い
これらはすべて「売上にはなるが利益を削る仕事」です。
利益を壊しているのは“良さそうに見える仕事”
厄介なのは、こうした仕事ほど一見すると魅力的に見えることです。
つまり売上が大きく、荷主との関係が強く、継続案件で安心感があるため、そのため、経営判断として切りにくい。しかし実態は、
「利益を圧迫し続ける“見えない赤字案件”」になっていることがあります。
なぜこの構造に気づけないのか
理由は明確です。多くの運送会社では、
- 荷主別の利益
- 運行別の利益
- ドライバー別の利益
が見える形になっていないからです。つまり、「どこで儲かっていて、どこで損しているか分からない状態」で経営しているということなのです。
こちらでもこの記事を掲載しています。
大塚商会:運輸・配送にかかわる企業が取り組むべきDXの具体策 第113回
https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/topics/column/logistics-dx/changing-perspective-profit.html
