前回のコラムでは、点呼記録の虚偽記載や未実施などの事例をもとに、行政処分の背景には「教育」と「情報共有」の体制不備があること、そしてその対策としてのDX導入やアナログ共有の仕組みについてご紹介しました。
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今回はその続きとして、運送業界で実際に処分対象となるケースの多い「書類管理」に焦点を当てます。点呼記録簿や乗務記録、整備記録といった書類は、日々の業務の中で当たり前のように作成・保管されているものですが、ちょっとした不備や保存ミスが、行政処分に直結するケースも少なくありません。

処分対象になる「よくある書類不備」
行政処分に関する公表情報を見てみると、以下のような書類に関する不備が、意外なほど頻繁に処分理由となっています。
・点呼記録簿の記載漏れ・保存不備
・乗務記録の虚偽記載(走行距離・運転時間など)
・アルコールチェックの記録がない/誤記
・車両点検の未実施/記録簿の作成漏れ
・労働時間関係の帳票が不十分 or 不存在
たとえば、点呼を実施していても「記録がない」だけで、実施していないのと同様の扱いを受けることがあります。また、記録があっても記載内容が曖昧だったり、年月日が抜けていたりすると、それだけで形式的な点呼と判断され、違反点としてカウントされることもあります。
「書けばOK」ではなく、「残せるか」が問われる
このようなリスクを減らすためには、「何を、誰が、どこで、いつまでに、どの形式で保管するか」というルールを社内で統一し、定期的にチェックする仕組みを整えることが大切です。
加えて、DXを活用した書類管理のクラウド化も効果的です。たとえば
・点呼記録をクラウドで即時保存
・勤怠データや運転時間の自動集計
・整備記録・車両点検の記録をスマホで入力・保存
・保存期間を自動で管理し、更新通知が届く仕組み
このように、記録の抜け・漏れ・消失を未然に防ぐ仕組みをつくることで、行政対応における自社のリスクを大きく下げることができます。
アナログ管理にもダブルチェックの仕組みを
もちろん、すべてをシステム化できない環境もあるかと思います。そうした場合には、定期的な棚卸しや現場・本社でのダブルチェック体制を設けることが現実的な対策となります。チェックリストや保管ルール表など、誰が見ても分かる形で明文化しておくことが大切です。
また、運行管理者任せにせず、経営者・総務担当も関わって「管理責任の所在を明確にする」ことも、再発防止の視点では有効です。
書類管理は守りであり攻めでもある
書類管理は、ただ処分を避けるための守りではありません。業務の流れや成果が数字で可視化され、ドライバーや管理者が自分の仕事を振り返る材料にもなります。また、荷主への説明責任やコンプライアンス評価の向上にもつながります。
処分されない会社ではなく、評価される会社を目指すために。書類管理の在り方そのものを、いま一度見直してみてはいかがでしょうか。
こちらでもこの記事を掲載しています。
大塚商会:運輸・配送にかかわる企業が取り組むべきDXの具体策 第97回
