前回のコラムでは、「実運送体制管理簿の導入と運送業界への影響」というタイトルでお話ししました。実運送体制管理簿の導入はいよいよ2025年4月からスタートです。このルールは運送事業者、荷主(元請け事業者)のどちらが大変なのかという観点でみると、荷主サイドでしょうか。今まで見えなかったプロセスを可視化し、報告する義務があるため管理精度を高めていかなければいけません。この新ルールが運送業の多重下請け構造という根源的な課題の解決に向かえばよいと思います。
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今回のコラムでは、改善基準告示の中でももっとも管理スパンの短い430管理(4時間連続運転違反の管理)について、お話したいと思います。

ある運送会社での社長と管理者の会話
社長: 「うちのドライバーは、ちゃんと4時間連続運転の規則は守れているの?」
管理者: 「ちゃんと合計30分の休憩を取らせていますよ。でも取れていないドライバーもいるのは事実です…」
社長: 「4時間連続運転の休憩30分って、休憩以外でもよかったよね?」
管理者: 「確かに厚生労働省のリーフレットにそのようなことが書いてありますね。どういうことなんでしょう?」
この会話は、運送業界で重要視されている「運転の中断」の正しい理解がいかに重要かを示しています。ドライバーの安全と法令遵守のために、「改善基準告示」を正しく理解することが求められます。
連続して運転できる時間の限度と「運転の中断」
運送業のドライバーが連続して運転できる時間は4時間以内と定められています。このルールは「改善基準告示」に基づいており、4時間経過後には運転を中断して30分以上の休憩等(運転の中断)を確保しなければなりません。
厚生労働省が作成している、「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント(令和6年4月〜適用)」に記載されている原文では、
・ 連続運転時間は4時間以内です。
・ 運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に、30分以上の運転の中断が必要です。 中断時には、原則として休憩を与えなければなりません。
・ 運転の中断は、1回がおおむね連続10分以上とした上で分割することもできます。 ただし、1回が10分未満の運転の中断は、3回以上連続してはいけません。
ここでのポイントは、「休憩等」という表現です。この「等」には、積み込み、荷下ろし、待機といった作業も含まれるため、必ずしも「休憩」だけに限定されません。ただし、原則として休憩を与えることが求められており、ドライバーの疲労防止が基本方針です。
30分の分割も可能:柔軟な運用方法
30分の運転の中断は、1回10分以上であれば分割して取得することが可能です。たとえば、15分の休憩を2回、または10分、10分、10分と分けても規定を満たすことができます。この柔軟な取り扱いは、渋滞や荷待ちなどやむを得ない状況にも対応するための工夫といえます。
改めて「改善基準告示」とは、トラック、バス、タクシーなどの運送事業者が遵守すべき労働時間の管理基準を定めた行政規制です。この基準はドライバーの過労防止、事故防止、物流の安定化を目的としています。
- 1日の最大運転時間: 9時間(例外的に2週間に1回は13時間まで延長可能)
- 連続運転の限度: 4時間
- 休憩・運転の中断: 4時間ごとに30分以上の運転の中断を確保
この告示は、労働基準法と併せてドライバーの働き方改革にも深く関わっています。
労働基準法との違いと連携
一方で、「労働基準法」も運転者に適用されるため、両方の基準を満たす必要があります。
労働基準法の休憩規定:
労働時間が6時間超8時間以下の場合:少なくとも45分の休憩
労働時間が8時間を超える場合:少なくとも1時間の休憩
改善基準告示で求められる30分の運転の中断は、必ずしも労働基準法上の「休憩」とは認められない場合があるため、別途休憩を確保する必要があります。
たとえば、4時間運転後の30分間を荷下ろし作業に充てた場合、これは「運転の中断」には該当しますが、労働基準法上の「休憩」には該当しません。この場合、別途45分または1時間の休憩時間を確保する必要があり、管理上の課題となることもあります。
しかし、30分を純粋な休憩として確保すれば、「改善基準告示」と「労働基準法」の両方を満たすことが可能となります。この方法には以下のメリットがあります。
・法令遵守の徹底: 違反リスクを低減。
・ドライバーの健康維持: 疲労の蓄積を防止。
・業務効率の向上: 計画的な運行管理が可能。
まとめ
430管理のみならず、ドライバーの安全と健康を守るためには、「改善基準告示」と「労働基準法」両方の理解と運用が不可欠です。法令遵守はもちろんのこと、ドライバーが安心して働ける環境づくりが、良いドライバーの採用、顧客満足、業績の向上に結果的につながるでしょう。
こちらでもこの記事を掲載しています。
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