「休息」は9時間以上を義務化、11時間以上は努力義務に
一般的に労働時間の基準といえば「労働基準法」だと思いますが、
運送業のドライバーは労働基準法にはない別の基準があります。
労働条件の改善を図るために「拘束時間」や「運転時間」などの、
基準が決められていて「改善基準告示」と言います。
平成元年(1989年)に制定されてから今までに何度か改正されていて、
違反すると「営業停止」や「車両停止」など行政処分の対象になってしまいます。
この「改善基準告示」の基準の見直しが進められていて、
今年(2022年)に改正される予定になっています。
その1つが「休息期間」についてです。
現状は原則13時間以上、最低でも8時間以上が必要と決められています。
これが、
・9時間以上を義務化
・11時間以上を努力義務
として設けられる見通しになっています。
というのも、
改正の内容を検討している有識者検討会(厚生労働省)では、
「バスの運転手」へ上記の新しい休息の基準について合意。
「トラックの運転手」についても同じ方向で議論されています。
休息が9時間以上になるということは「拘束時間」が、
現行の最大16時間から15時間に短縮される可能性も出てきます。
出典:朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/ASQ3J3RKZQ3GULFA03N.html
拘束時間が「年間で216時間」短縮される可能性も
「改善基準告示」の改正ではもうひとつ議論されて内容があります。
それが「拘束時間」の基準です。
現在の1ヶ月と1年間の基準を、
・1ヶ月|現状:293時間 → 275時間
・1年間|現状:3,516時間 → 3,300時間
に見直しするように議論されています。
もしこのまま改正されると現行より1ヶ月では-18時間、
1年間では-216時間も短縮されることになります。
仮に1日の拘束時間が13時間だとすると、
約17日間分の稼働が減ることになってしまいます。
その他にも「運転時間」や「特例」ついても議論されいて、
実際に改正されるのは今年(2022年)の12月の予定で、
2024年には施行されるスケジュールになっています。
実際にどう改正されるかはこれからですが、
現行より基準が緩くなることは無さそうです。
厳しくなる前提で運行管理・労務管理を、
今のうちから見直しておく必要がありそうです。
出典:物流weekly 2022年3月14日号(紙面)