コラム

運送業の2024年問題|第27回:11時間の休息が義務化!? 「改善基準告示」の改正予定の内容は・・・

「休息」は9時間以上を義務化、11時間以上は努力義務に

 

一般的に労働時間の基準といえば「労働基準法」だと思いますが、

運送業のドライバーは労働基準法にはない別の基準があります。

労働条件の改善を図るために「拘束時間」や「運転時間」などの、

基準が決められていて「改善基準告示」と言います。

 

平成元年(1989年)に制定されてから今までに何度か改正されていて、

違反すると「営業停止」や「車両停止」など行政処分の対象になってしまいます。

 

この「改善基準告示」の基準の見直しが進められていて、

今年(2022年)に改正される予定になっています。

 

その1つが「休息期間」についてです。

現状は原則13時間以上、最低でも8時間以上が必要と決められています。

これが、

・9時間以上を義務化

・11時間以上を努力義務

として設けられる見通しになっています。

 

というのも、

改正の内容を検討している有識者検討会(厚生労働省)では、

「バスの運転手」へ上記の新しい休息の基準について合意。

「トラックの運転手」についても同じ方向で議論されています。

 

休息が9時間以上になるということは「拘束時間」が、

現行の最大16時間から15時間に短縮される可能性も出てきます。

 

出典:朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/ASQ3J3RKZQ3GULFA03N.html

 

 

拘束時間が「年間で216時間」短縮される可能性も

 

「改善基準告示」の改正ではもうひとつ議論されて内容があります。

それが「拘束時間」の基準です。

 

現在の1ヶ月と1年間の基準を、

・1ヶ月|現状:293時間 → 275時間

・1年間|現状:3,516時間 → 3,300時間

に見直しするように議論されています。

 

もしこのまま改正されると現行より1ヶ月では-18時間、

1年間では-216時間も短縮されることになります。

 

仮に1日の拘束時間が13時間だとすると、

約17日間分の稼働が減ることになってしまいます。

 

その他にも「運転時間」や「特例」ついても議論されいて、

実際に改正されるのは今年(2022年)の12月の予定で、

2024年には施行されるスケジュールになっています。

 

実際にどう改正されるかはこれからですが、

現行より基準が緩くなることは無さそうです。

厳しくなる前提で運行管理・労務管理を、

今のうちから見直しておく必要がありそうです。

 

出典:物流weekly 2022年3月14日号(紙面)

 

 

 

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