休日労働は「960時間規制」には含まれないが、「拘束時間」の限度に含まれる
労働基準法の改正によって、
2020年4月から時間外労働の上限規制がはじまりました。
ご存知のとおり運送業のドライバーは「特例」で、
2024年4月まで適用が猶予されています。
実は2024年4月の適用が開始されても、
他の業種とは規制の基準が違うことをご存知でしょうか?
「単月」の時間外労働時間の基準は、
・運送業のドライバー以外:100時間未満(休日労働含む)
・運送業のドライバー :1ヶ月の上限の規定なし
「年間」の時間外労働時間の基準は、
・運送業のドライバー以外:720時間(休日労働含まない)
・運送業のドライバー :960時間(休日労働含まない)
単月も年間も運送業のドライバーは、
他の業務に比べて上限時間が長くなっています。
しかし、ここで運送業ならではの注意が必要です。
「拘束時間」の限度です。
1ケ月では原則293時間(最大320時間)まで、
1年間では3,516時間の拘束時間の限度があり、
さらに休日労働は拘束時間に含まれます。
単月の時間外労働の上限がないことや、
年間の上限に休日労働が含まれないとって長時間労働になると、
拘束時間の限度を超えてしまうことに注意が必要です。
※出典|全日本トラック協会:トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン
https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/rodo/hatarakikata/actionplan_kaisetsu.pdf
将来的に時間外労働が960時間→720時間になる可能性がある
冒頭の運送業ドライバーの時間外労働の基準ですが、
将来的には他の業種と同じ基準になる可能性があります。
というのも同じ運送業でも管理者や事務職など、
ドライバー以外の時間外労働の上限は年720時間です。
厚生労働省の資料でも引き続き検討する旨が記載されています。
自動車運転の業務:(略)・・・年960時間とし、将来的な一般則の適用について引き続き検討する旨を附則に規定。
「労働時間の制度に関する見直し」P3:https://www.mhlw.go.jp/content/000332869.pdf
まずは時間外時間の、
年間960時間=月間80時間を基準に管理する。
月間80時間がクリア出来たら、
年間720時間=月間60時間を目標に管理する。
この基準で管理できるように、
今のうちから体制を考えておいて損はないはずです。