コラム

運送業の2024年問題:第13回|分割休息の注意点|運送業の労務管理における重要ポイント(改訂版)

◼️分割休息とは?

あらためて申し上げると、運送業(トラックドライバー、バス運転者など)では、一般の業種とは異なる特別な労務管理が必要です。その一つが「休息期間(勤務間インターバル)」の管理です。

休息期間とは、終業(仕事終了)から次の始業(仕事開始)までの間を指します。これは労働時間には含まれず、十分に確保することで労働時間の短縮や健康管理にもつながります。

基本ルール(2024年3月時点):

  • 原則として 連続11時間以上 の休息が必要
  • 短縮する場合でも 最低8時間以上 は確保する

しかし、交通渋滞や荷主の都合などで、11時間や8時間の休息時間を確保できない場合もあります。そのため、例外的に「分割休息」という方法が認められています。

 

◼️分割休息のルールと条件

分割休息とは、1回4時間以上で合計10時間以上の休息を確保できる場合に、休息を分割しても良いという制度です。

分割休息の例:

  • 4時間+6時間 = 合計10時間
  • 5時間+5時間 = 合計10時間

ただし、始業から 24時間以内 に収める必要があります。

重要な制限:

  • 全勤務回数の1/2までが限度(原則2週間~4週間の間で適用制限あり)
  • 長期間にわたる連続使用は避けるべき

このように、分割休息はあくまで特例的な措置であり、常態化すると労働者の健康や安全に影響を及ぼす可能性があります。

 

◼️分割休息の前後には「点呼」が必須

運送業では、1日の点呼として 「乗務前点呼」「乗務後点呼」 が義務付けられています。 (長距離運行の場合は「中間点呼」も必要)

分割休息を利用する場合、通常の休息とは異なり、分割休息の開始時と終了時 に点呼が必要です。そのため、点呼の回数が増えることに注意が必要です。

点呼の流れ(例)

1 乗務前点呼 → 業務開始

2 分割休息開始(点呼が必要)

3 分割休息終了(点呼が必要)

4 乗務後点呼 → 業務終了

このように、分割休息を適用すると管理業務も増えるため、会社側の適切な対応が求められます。これは意外と忘れられがちなので注意してください。

 

◼️改善基準告示と2024年問題

2024年4月に改正された改善基準告示により、運転者の1日の拘束時間は 原則13時間以内、最長15時間 とされました。例外として、トラックドライバーに関しては 宿泊を伴う長距離貨物運送の場合に限り、週2回まで最長16時間まで延長 が認められています。

拘束時間の基準を超えた場合

・直ちに業務を停止し、適切な休息を取るよう指示

・運転者の健康と安全を確保

・企業が行政処分を受けるリスクを防ぐ

・また、長時間労働をなくすことで、運転者の健康を守るだけでなく、企業の持続可能な経営にもつながります。

改善基準告示の概要

トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント(令和6年4月〜適用)

拘束時間の上限(2024年改正)

①1日あたりの拘束時間:原則13時間以内(最大15~16時間)

②1ヶ月の拘束時間:原則284時間以内(最大310時間)

③1年あたりの拘束時間:原則3,300時間以内(最大3,400時間)

④1日の休息期間:9時間以上(通常11時間以上)

⑤連続運転時間:4時間以内(4時間超えは30分以上の休憩必須)

これらの基準を守らないと、企業は厳しい罰則を受ける可能性があります。

 

◼️分割休息のまとめ

たくさんのルールを一挙に解説したので混乱していることと思います。 一度、ルール全体を整理しておきましょう。

・1回の休息時間は3時間以上必要

・分割できるのは3回まで

・分割回数に応じて取らなければならない休息時間が異なる

・始業から24時間を基準として考える必要がある

・全ての運行を分割休息で計画することはダメ

・分割休息ごとに点呼が必要になる

・分割休息を使用したほとんどのケースで中間点呼が必要

こんな細かいルールを1度に全て覚えきるのは困難です。なんとなくルールの全体像を覚えていただき、実際に活用されるときはまたこの記事を開いてひとつずつ確認する、または運行管理用のスマホアプリケーションを利用したりしながら進めてください。

 

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