運行管理者試験(貨物)の合格に必要な情報を1ページに集約しました。受験資格、年2回の試験日程と申込みスケジュール、CBTの流れ、5分野の出題配点、合格基準、合格率の推移、勉強法、合格後の手続きまで、公式情報をもとに整理しています。はじめて受験する方が「何から確認すればいいか」で迷わないことを目指したまとめです。

試験データ早見表(貨物)
試験区分 貨物/旅客の2区分(トラック運送事業は貨物
実施回数・時期 年2回(8月頃・3月頃)、それぞれ約1か月の試験期間
試験方式 CBT方式のみ(パソコンで解答。令和3年度から筆記試験を廃止)
出題数 30問(5分野からの選択式)
合格基準 総得点の60%(18問)以上+分野ごとの最低正解数
合格率 近年は30〜40%台で推移(令和7年度第1回・貨物は37.2%)
受験資格 実務経験1年以上 または 基礎講習修了(修了予定でも可)
受験手数料 6,000円(非課税)+システム利用料660円(税込)

この記事のポイント

  • 運行管理者は、運送会社で点呼・運行計画・指導監督などを担う国家資格。トラック運送業では「貨物」を受験します。
  • 試験は年2回・CBT方式。申込み期間は試験日の約2か月前に締め切られるため、スケジュール管理が重要です。
  • 合格には60%(18問)以上に加え、各分野の足切りをクリアする必要があり、偏りのない学習が前提になります。
  • 受験には実務経験1年以上か基礎講習の修了が必要です。誰でもすぐ受けられる試験ではありません。
  • 合格後は3か月以内に資格者証の交付申請が必要。2026年4月からはe-Govによるオンライン申請にも対応しました。

01運行管理者・運行管理者試験とは

運行管理者は、緑ナンバー(事業用自動車)で運送事業を行う会社において、輸送の安全を確保するために配置が義務づけられた国家資格者です。具体的には、運行計画の作成、ドライバーの乗務割や勤務時間の管理、点呼の実施とアルコールチェック、安全教育・指導監督などを担います。一定台数以上の事業用自動車を保有する営業所には、台数に応じて運行管理者を選任しなければなりません。

運行管理者試験は、この資格を取得するための試験で、公益財団法人 運行管理者試験センターが実施しています。試験には「貨物」と「旅客」の2区分があり、トラックによる物流を担う運送会社では貨物を、バス・タクシーなど人を運ぶ事業では旅客を受験します。本記事はトラック運送事業を想定し、貨物を中心に解説します。

なお、運行管理者の資格を得る方法は試験合格だけではなく、所定の実務経験と基礎講習を重ねるルートもあります。ただし多くの実務担当者にとっては試験合格が最短のため、本記事では試験対策に絞って整理します。

02受験資格(実務経験・基礎講習)

運行管理者試験は誰でも受けられるわけではなく、次のいずれかを満たす必要があります。

  • 実務経験1年以上:事業用自動車(緑ナンバー)の運行管理に関する実務を、試験日の前日までに1年以上経験していること。
  • 基礎講習の修了:受験する区分(貨物/旅客)に対応した基礎講習を修了していること。
  • 基礎講習の修了予定:申込み時点で未修了でも、所定の期限までに修了し、修了証などを提出できる場合は申請が可能。
注意したいポイント実務経験として認められるのは「運行管理に関する」業務です。トラックの運転業務そのものや、営業・総務・経理などは、原則として運行管理の実務経験には含まれません。実務経験ルートで申請する場合は、勤務先の承認手続きも必要になります。

実務経験が足りない場合は、基礎講習の修了が現実的な選択肢です。基礎講習は受験する区分に対応したものである必要があり、貨物の受験には貨物の基礎講習が必要です。

03試験日程と申込みスケジュール

運行管理者試験は年2回、おおむね8月頃と3月頃に実施されます。CBT方式のため、それぞれ約1か月の試験期間が設けられ、その中から都合のよい日時と会場を選んで受験します。重要なのは、申込み期間が試験日のおよそ2か月前に締め切られる点です。受験を決めたら、まず申込み期間を確認することをおすすめします。

実施回 試験時期の目安 申込み期間の目安
第1回 8月頃(約1か月間) 5〜6月頃
第2回 翌年3月頃(約1か月間) 前年11〜12月頃

申込みには「インターネット申請」と「書面申請」があり、書面申請は受付期間がインターネット申請より短いため、間に合わなかった場合はインターネット申請の締切を確認すると間に合うことがあります。正確な日程は回ごとに異なるため、申込み前に必ず試験センターの公式案内で最新の期間を確認してください。

スケジュールの立て方「試験日」ではなく「申込み締切」から逆算して準備を始めるのが安全です。8月受験を狙うなら春先、3月受験を狙うなら秋口には学習を始めると、申込みと学習の両方に余裕が生まれます。

04受験手数料・費用

受験にかかる主な費用は次のとおりです。支払いはクレジットカード・コンビニ・ペイジーなどから選べますが、支払い後の返金や次回への繰り越しはできない点に注意してください。

項目 金額 備考
受験手数料 6,000円 非課税
システム利用料 660円 税込・CBT利用にかかる費用
試験結果レポート 140円 税込・希望者のみ(任意)
受験申請書(書面申請の場合) 1,050円〜 1部1,050円。郵送購入は1,500円

インターネット申請であれば申請書の購入は不要なため、最小構成では受験手数料6,000円+システム利用料660円が基本の費用になります。

05CBTの形式と当日の流れ

現在の運行管理者試験はCBT(Computer Based Testing)方式で実施されます。紙の問題冊子やマークシートは使わず、試験会場のパソコン画面に表示される問題にマウスなどで解答する形式です。令和3年度から筆記試験は廃止され、CBTのみとなりました。

申込みから受験までの流れ

  1. インターネット申請(または書面申請)で必要書類を提出する
  2. 受験資格などの書類審査を受ける
  3. 審査完了後、案内に従って試験会場・日時を予約し、受験手数料等を支払う
  4. 予約した日時にCBT会場で受験する

当日の注意点

会場では、携帯電話・筆記用具・時計などの私物はロッカーに預け、本人確認書類を持って入室するのが一般的です。試験では会場が用意したメモ用紙とペンを使用します。面接や実技はなく、CBT1回の結果で合否が決まります。合否は当日には分からず、後日「試験結果通知書」が郵送されます。

06出題内容と5分野の配点

試験は5つの分野から合計30問が出題されます。分野ごとの出題数は次のとおりで、配点の大きい「貨物自動車運送事業法」と「労働基準法」が得点源になりやすい構成です。

分野 出題数
(1) 貨物自動車運送事業法 関係 8問
(2) 道路運送車両法 関係 4問
(3) 道路交通法 関係 5問
(4) 労働基準法 関係 6問
(5) その他 運行管理者の業務に必要な実務上の知識・能力 7問
合計 30問
法改正に関する注意法改正があった場合、原則として施行後6か月間は改正前後で解答が分かれる問題は出題されません。ただし例外もあるため、学習時は最新の法令に対応した教材を使うのが安全です。特に労働時間の改善基準告示は令和6年4月施行の改正内容が出題対象となっており、古い教材では誤った知識を覚えてしまう恐れがあります。

07合格基準(足切りの考え方)

合格には、次の2つの条件を両方満たす必要があります。総得点だけでクリアしても、分野別の基準を落とすと不合格になる点が大きな特徴です。

  • 総得点:30問中18問以上(満点の60%以上)正解すること
  • 分野別の最低正解数:(1)〜(4)の各分野で1問以上、(5)の分野で2問以上正解すること

つまり、得意分野だけで点を稼ぐ戦略は通用しません。苦手分野を捨てると、たとえ合計で18問取れても足切りで不合格になり得ます。すべての分野を一定水準まで仕上げる「バランス型」の学習が合格の前提になります。

08合格率と難易度

運行管理者試験の合格率は、近年おおむね30〜40%台で推移しています。直近では、令和7年度第1回(2025年8月実施)の貨物が37.2%、旅客が34.1%でした。受験者の半数以上が不合格になる計算で、十分な準備なしに合格できる試験ではありません。

CBT方式の導入以降は合格率の極端な変動が減り、30%台で安定する傾向があります。これは、まぐれ合格を減らし、実務に必要な知識を確実に身につけているかを問う方向に試験の質が変化していることを示しています。一方で、過去問とテキストを計画的に反復すれば十分に到達できる難易度でもあり、「正しい方法で、必要な量をこなせるか」が合否を分けます。

09効率的な勉強法と学習計画

過去問の反復を学習の軸にする

運行管理者試験は、過去に問われた論点が形を変えて繰り返し出題される傾向があります。テキストで全体像をつかんだら、過去問演習を学習の中心に据えるのが効率的です。間違えた問題は解説を読み、関連する条文や数値をテキストで確認する——この往復を、正答が安定するまで繰り返します。

配点と足切りから優先順位をつける

出題数の多い「貨物自動車運送事業法(8問)」と「労働基準法(6問)」は得点源として優先度が高い分野です。一方で、足切りがあるためどの分野も捨てられません。配点の大きい分野で取りこぼしを減らしつつ、出題数の少ない分野も「最低限の正解を確保する」水準まで仕上げるのが現実的な戦略です。

数値・暗記項目を後半に詰めすぎない

点呼の種類や記録の保存期間、休憩・拘束時間に関する基準など、数値の暗記が問われる項目が多くあります。直前にまとめて覚えようとすると負担が大きいため、学習の早い段階から少しずつ触れておくと定着しやすくなります。

CBT特有の対策画面上で問題を読み、見直しのために問題をマークしながら進める操作に慣れておくと、本番で時間配分に余裕が生まれます。可能であれば、パソコン画面で過去問を解く練習を一度はしておくと安心です。

10合格後の手続き

試験に合格しても、それだけで運行管理者として選任できるわけではありません。合格後に運行管理者資格者証の交付申請を行う必要があります。

  • 申請期限:合格した日から3か月以内。この期間内に申請しないと合格が無効になるため、忘れずに手続きします。
  • オンライン申請:2026年(令和8年)4月1日から、資格者証の交付・再交付がe-Govによるオンライン申請に対応しました。来庁不要で手続きでき、オンライン申請の手数料は260円です(電子納付を完了しないと審査が始まらない点に注意)。

合格はゴールではなく、運行管理者として実務を担うためのスタート地点です。交付申請の期限管理まで含めて、合格直後のToDoとして押さえておきましょう。

11よくある質問

18問取れれば必ず合格できますか?

総得点で18問(60%)以上を取っても、分野別の最低正解数を満たさなければ合格できません。(1)〜(4)で各1問以上、(5)で2問以上が必要で、すべての分野をバランスよく仕上げることが前提です。

貨物と旅客は同じ回で両方受験できますか?

同一回の試験では、貨物・旅客を含めて一人1区分のみの申込みです。両方の資格が必要な場合は別々の回で受験します。

実務経験がなくても受験できますか?

受験できます。実務経験が1年に満たない場合は、受験区分に対応した基礎講習を修了することで受験資格を満たせます。修了予定でも、所定の期限までに修了証などを提出できれば申請できます。

試験は紙ですか、パソコンですか?

CBT方式で、会場のパソコン画面に表示される問題に解答します。令和3年度から筆記試験は廃止され、マークシートは使いません。

合格発表はいつ確認できますか?

正式な合格発表は試験期間の終了後、試験センターが定める発表日に行われ、合否は後日郵送される試験結果通知書で確認します。試験当日には合否や得点は分かりません。

運転業務の経験は実務経験に含まれますか?

原則として含まれません。受験資格となる実務経験は運行管理に関する業務であり、運転業務そのものや営業・総務・経理などは通常含まれません。

主な出典・参考

本記事は上記の公開情報をもとに編集部が整理したものです。日程・手数料・制度は改定される場合があるため、申込み前には必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。