前回のコラムでは、ドライバー評価制度の運用定着に向けた設計と工夫を紹介しました。
https://app-logi.co.jp/column/?p=8107&preview=true
今回はテーマを変え、DX化したはずなのに業務の実態が改善しないという問題を取り上げます。とくに複数営業所を持つ運送会社で頻発しているのが、本社と現場の記録精度がまったく違う、システム上は統一されているが実務がばらばらという状況です。これについて情報分断の実態とその背景をお話していきます。

DX化は入力者の質に依存するという落とし穴
多くの会社がクラウド勤怠、点呼アプリ、配車システムなどを導入していますが、
- 本社はきれいな画面で管理しているつもり
- 現場では使われずExcel転記や紙記録が温存されている
という状態が残っていることが多いようです。
- 勤怠:本社のシステムに登録されている時間と、実際の点呼時刻がズレている
- 点呼:ある営業所は点呼アプリを使い、別の営業所は未導入のまま
- 配車:システムには登録されているが、ドライバーは紙の指示書で動いている
これらはすべてツールの有無の問題ではなく、運用ルール、入力者、責任分担の設計が曖昧なままDXを進めた結果です。
情報が分断される3つの構造要因
| 原因 | 具体例 |
| 1 現場主導でのバラバラ運用 | 営業所ごとに独自フォーマット、紙文化が残る(所長の裁量で管理が変わる) |
| 2 入力責任が不明確 | 誰が点呼記録を登録するか、誰が勤怠を修正するかが決まっていない |
| 3 情報の時間差 | システム反映にタイムラグがあり、リアルタイムで使えない、信用されない |
これにより、本社が見ている情報と現場の運用実態が違う状態が慢性化し、
監査や行政対応の際に実態不一致として問題化するケースが増えています。
本社視点の画面上の正しさと、現場視点の実際のやり方が乖離している
| 本社 | 現場 |
| 勤怠管理はクラウドで一元管理している | でも実際は紙の勤務表を先に書いて、あとでまとめて入力している |
| 点呼はアプリで行っている | アルコール検知器の結果をすべて紙に記入している |
このように、形式上は問題ないが証拠として機能しない運用が発生しているのです。
これではDXの恩恵を受けられません。しっかりとシステムを使いはじめたときの想定に近づけなければいけません。
次回も「うまくいかない運送業のDX」の事例について取り上げていきたいと思います。
こちらでもこの記事を掲載しています。
大塚商会:運輸・配送にかかわる企業が取り組むべきDXの具体策 第109回
https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/topics/column/logistics-dx/situation-remains-unchanged.html
