前回のコラムでは、「2026年対応」すなわち業務記録のデジタル保存義務化に企業がどう備えるかをテーマに、点呼や勤怠など各種記録の整合性と構造化、そして証拠として通用する会社になるための実践ステップをお伝えしました。
制度に「耐えられる記録」を作る体制が整った次の段階として、今注目すべきなのが「人材評価の透明化」です。
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今回はその第一歩として、ドライバー評価を「デジタコの点数だけで決めていないか?」という視点で見直し、総合評価の必要性とその考え方を整理していきます。

デジタコ評価が担えるのは「運転行動」
最近のデジタルタコグラフには、以下のような自動スコアリング機能が搭載されています。
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これらは重要な指標です。しかし、ドライバー評価のうち「運転行動」以外の領域は一切カバーできていません。
評価されていない「見えない貢献」が現場にはある
| 領域 | 具体的内容 |
| 勤務姿勢 | 点呼遅刻ゼロ、欠勤少ない、制服遵守、体調申告など |
| 接客対応 | 荷主・納品先との応対態度、受領書の正確さ |
| 車両管理 | 車両清掃、給油ルール、点検記録の提出状況 |
| 指示遵守 | 運行指示内容の理解度、指示無視の有無 |
| チーム協力 | 配車調整への協力度、後輩指導、報告連絡相談 |
こうした「見えない貢献」は、評価対象に含まれていないがゆえに、業務が「無報酬化」しているという問題があります。
単一スコアでは「不公平感」が生まれやすい
ドライバー間でよく聞かれる不満の例:
- 「長距離ばかり走っている人の方が点数が出やすい」
- 「待機が多い現場担当は低評価になりがち」
- 「ミスは少ないのに、見られていないから評価されない」
これはすべて、「スコア化される項目だけで評価している」ことが原因です。
つまり、前回の話とは逆の「記録できるものしか評価されない」体制では、不満と不信が蓄積するのです。
総合評価=「記録されていない価値」の可視化
これから求められるのは、「数値化しにくいものを、構造化して評価できる仕組み」です。
たとえば
- 点呼遵守率(出勤点呼・帰庫点呼の実施率)
- 受領書提出遅延回数(運行後の事務処理精度)
- ドライバーアンケートによる職場内評価(チーム連携)
- 営業所長評価シート(主観を排除した定量シート)
これらをスコアにして統合することで、「走る・止まる」だけでない人材像を定量的に描くことができます。
次回は、何をどう評価し、どう配点し、どう記録するか。
評価される側・する側の納得を得るための方法論を、事例とともに整理していきます。
こちらでもこの記事を掲載しています。
大塚商会:運輸・配送にかかわる企業が取り組むべきDXの具体策 第105回
https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/topics/column/logistics-dx/visualization-evaluation.html
